元気な赤ちゃんを産むために!

2005年7月18日 追加


開院以来、妊婦さんや子供が欲しいがなかなか妊娠することが出来ない人・妊娠はするが8週程度で流産してしまう人等、毎年治療を通して関わりを持たせて頂いています。
この関わりを通して、いろいろなお話をお聞きしたり、また、させて頂いたりしている中、「妊娠」についてのページを新たに設ける必要性を感じました。不十分な内容であると思いますが、少しでも皆様の参考にしていただければと思います。


鍼灸による健康法・治療法は、仁術として紀元前より行われており、医学の古典にも三陰交穴の婦人病や男女生殖器疾患に極めて著効のあることが明記されています。
また、産婦人科医の石野信安氏も、妊婦の三陰交への施灸は安産であるばかりでなく、胎児の体質改善にも大きく役立つと豊富な実例を挙げて、その効果を説いておられます。
安産灸の継続により、本格的な陣痛が始まってから初産であっても、短時間で出産できます。
また、難産を避けることが出来ますので、産後の肥立ちも良くなります。
更に、胎児の置かれている子宮内の条件、すなわち羊水の成分が理想的に経過しますので、胎児が異常に動いて位置を変えることがありません。ですから、臍帯を首に巻いて斜頚や先天性脳性麻痺、あるいは股関節脱臼等になることはありません。
昔から「小さく生んで大きく育てる」と言われています。安産灸の継続により、元気で丈夫な赤ちゃんを出産することが出来ます。しかも、安産で。
妊娠中に鍼なんて!と思われる方もおられると思いますが、心配無用です。かえって母子共に体調が整えられ、妊娠中も元気に過ごすことが出来ます。一度ご検討ください。

三陰交穴の取り方
三陰交穴は足の内果(うちくるぶし)の上三寸にあり。その取り方としては、内くるぶしの上際に三本指を当てると、太い骨の後際にへこんで押すと痛い所があります。それを目当てに取ります。
施灸は、胎児が動き始める満5ヶ月目(16週)、腹帯締める頃から始めます。それ以前に早く施灸を始めますと、流産の恐れがありますのでご注意ください。
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一般的には三陰交穴への施灸によります。
例えば、経絡治療による鍼治療を加えつつ、臨月に至ると15〜20壮の施灸を加え、いよいよ陣痛が始まりますと、30壮ほどの施灸を加えます。これによって無事出産となります。

当院においては、出来るだけ妊婦さんの負担を軽減したいために、施灸の総数を抑えた形で治療いたしております。また、陣痛が始まってから治療に来られることも難しく、本人による施灸も難しいため別のツボ(背部の細絡)を使って安産に導いております。

陣痛促進穴
臨月に入り出産が近ずいてくると、背部にツボ反応が現れてきます。その反応が第3〜5胸椎の高さに下がってくると、「いつでも出産可能ですよ」と体が教えてくれます。
そこで体の状態に従って鍼治療(経絡治療)を加え、三陰交に7〜9壮の施灸をし、最後に背部に現れた「陣痛促進穴」に円皮鍼を貼り、治療を終えます。そうしますと、翌日か翌々日に強い陣痛が起こり楽に出産することが出来ます。
但し、これは意図的に出産日を操作するために用いるものではありません。あくまで出産予定日を目安にし、胎児の状態、背部のツボ反応を併せて治療しています。
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妊娠をすると誰もが、その程度の差はあれ“つわり”を体験します。本当に軽く終わる人、妊娠当初から始まり、入院にまで至る人もいます。どこでそのような差が出てしまうのでしょうか。
“つわり”を軽く終えるために、臨床から学んだこと等を参考にしながら、書いてみます。

「つわりは、母胎の血液の酸素不足で強まるが、これは母体の腸の門脈の酸素不足によるから、横隔膜呼吸をじゅうぶんにして、腸を冷やさないようにすれば、つわりは克服することが出来る。生殖器も肺も、すべては腸から出来ていることを忘れてはならない」 (門脈とは、大動脈から腸に入り、消化された栄養を豊富に吸収して、肝臓の関所を通って、心臓に還る静脈のこと)
「赤ちゃん」の進化学  西原克成著より

「赤ちゃん」の進化学でも、腸の冷えが“つわり”に大きな影響があると説いています。
臨床からも、消化器系統と深い関係があると言えます。つまり、体が冷えていて、胃・腸の弱い方に多いようです(例えば、子供の頃からバス旅行が苦手で、すぐにもどしてしまうような人等)
必ずそうなるとは限りませんが、かなり高い割合で“つわり”になっています。
ですから、治療の中心も脾経(消化器系)絡みがほとんどになっています。脾経は、飲食物が直接入る「胃」と「脾」からなり、冷たい物やたべすぎ・陰の食物の取りすぎによって、冷やされ、消化能力を低下させてしまいます。
その結果、消化器系統が弱くなり、いわゆる胃・腸が弱い人になってしまいます。そして“つわり”を誘発し易い体に傾いていきます。また、妊娠しにくい方へ傾きますので、注意してください。
手・足が普段から湿っぽくぬれていて、冷えている方は注意が必要となります。日々の食生活・過ごし方に問題がありますので良く検討してください。鍼灸治療による体質改善も大切となります。ご質問のある方は「お問い合わせ」「掲示板」等から質問してください。
“つわり”は、鍼灸治療(経絡治療)によって軽く過ごせるようになりますから、ご相談ください。
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さかごは、妊娠7・8ヶ月に入り胎児が正常な位置に無いことを言います。つまり、胎児の頭部が上方(横隔膜方向)に向いている状態を言います。あらためてここで説明をする必要も無いでしょうが。
では、どうしてさかごになるのでしょう。
その原因のひとつに体の冷えが考えられます。
陰性の強い食物を取り過ぎていますと、体も陰性(冷え)に傾き、陰陽のバランスが崩れ、その結果として位置異常が生じてしまいます。
現在の日本においては、陰性の強い食べ物が好まれ多く食されています。一例を挙げますと、ラーメン類、パン、ケーキ、果物等です。その他、年中冷たい飲み物が好まれ、冬の寒い時期にもかかわらず氷の入っている冷えた飲み物が飲まれています。
これらの取り過ぎは、さかごだけの問題ではなく、体全体のバランスを崩し、疲れの抜けにくい、だるい状態を引き起こしますので注意してください。
臨床的には、下腹部がふっくらしている妊婦さんの場合は、比較的簡単にさかごを治すことが出来ます。しかし、下腹部が硬く逆三角形のようになっている妊婦さんは、戻りにくく時間がかかりますので、早めに鍼灸治療を受けられることをお勧めします。
さかごと診断されたら、さかご体操を指導され、それで簡単に戻るケースも多いですが、簡単に戻らない時には、鍼灸治療もご検討ください。特に、先ほど書きました下腹部の硬い逆三角形になっている方は、早期に治療をお受けください。

さかご・位置異常に効果のあるツボ
至陰穴(足の小指外側爪の角を三ミリほど入ったところ)への施灸が有効です。
その他にも有効な箇所がありますので、反応を見ながら施灸しています(ツボ名の無いところで効果のある処もあります)
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医学的に見れば、不妊症と不育症とは区別して語るべきものであるでしょう。しかし、鍼灸治療の立場から、つまり、体全体を見て全身調整をする立場から、体の中に起こっているひとつの現象として捉え、書かせていただきます。
私自身、治療室でよく次のようなたとえ話をさせていただいております。
「肥えた豊かな畑に落ちた種は、やがて根を張り芽を出して大きく成長していきます。茨の生い茂った畑に落ちた種は、やがて根を張り芽を出して成長しますが、根がしっかり張れずやがて枯れてしまいます。砂漠のような荒地に落ちた種は、根も芽も出すことが出来ずに枯れてしまいます」
「今、あなたの体は一体どれに当たるでしょうか。肥えた豊かな畑に作り変えて行きましょう。体は、いつでもいい状態に戻そうと頑張っています。鍼灸治療(経絡治療)でお手伝いするだけで体は大きく変わっていきますよ」

この例え話は、幼稚に思えるかも知れませんね。でも、こんな中に真理があるかも知れません。
一見、医学の専門用語をたくさん使うともっともらしく聞こえますが、何の解決にもなりません。
体は、常にいい状態に保とうとしています。つまり、揺れながら恒常性を維持しようとしています(ホメオスターシス)
これは、漢方から考えると、五臓六腑がその働きを均衡に保とうとすることに繋がります。
陰陽五行論による治療体系がそれにあたり、治療によって、バランスの取れた五臓六腑は免疫力を引き上げ、「肥えた豊かな畑」に作り変えて行きます。
不妊症にしても、不育症にしても、妊娠して出産するには、不適切な体の状態なのです。ですから、「妊娠してもいいですよ」と体が教えてくれるような状態に作り変えなければなりません。
一緒に鍼灸治療(経絡治療)で妊娠サインを出せるように頑張ってみましょう。
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ここまでご覧いただいてお分かり頂いたと思いますが、「冷え」と言う言葉がキーワードになっています。また、「冷え」かとうんざりしておられる方もいらしゃるでしょう。でも、大切なことなのです。冷えた体は、免疫力を低下させ、各内臓・諸機関の働きを確実に低下させ、能力を落としてしまいます。その結果、様々な症状を現してしまいます。そのことにきずいて欲しいのです。きずくことによって初めて、体を変えていくことが出来るのです。
まず第一に、「冷えた」体を変えたいと思うことです。そして次に、「冷えた」体をどうしたら変えられるか考えることです。
何とかしたいと言う思いは、体を変えていくために「必要な力」となります。特にポジティブな思考は「体を変える力」を倍加させます。
まずは、力まず、出来ることから始めてみましょう。食事のこと、運動のこと、生活リズムのこと等、あなたの出来そうなことから始めてください。
例えば、食事について言えば、食べ過ぎず腹八部に押さえることや、冷えた陰性の強い食品は避けること等。また、栄養補助食品に頼り過ぎないこと等です。
運動について言えば、筋力をつけるための運動ではなく、良く歩くことです。それも元気を与えてくれる太陽の光を受けながら。但し、昨今問題になっている紫外線には注意しながらになりますが。太陽の光は植物にとって大切なように、私たち人間にも大切なものです。
生活リズムについては、基本的な考え方として「生体リズム」を「太陽のリズム」に合わせることです。すなわち、朝日と共に起き、日暮れと共に眠る。これは極端な話ですが、最近は体内時計が大幅にずれてきています。夜更かし、朝寝坊は、生活リズムを狂わし、体調を崩す元となります。
これらはほんの一例ですが、是非前向きに始めてください。始める事であなたの体は変わっていきます。あなた自身の体を信じてみましょう。
出来ることから少しずつ積み重ねていってください。
「そう簡単に変わらないよ」と思われる方も多いでしょうが、私たちの体は、正常な状態に戻そうといつも一生懸命働いているのです。ですから、治そうと心がけることで大きく変わっていきます。
そして、体が「温まる」方向へと向かうために工夫していくことです。


安産灸のお話
1.切迫流産の症例 (30歳代前半の女性)

初産の女性で、妊娠の前期から良く腰が痛くなり、長い時間立っていられなかったとのことでした。妊娠5ヶ月に入った頃、腰の痛みが更に強くなり、家事仕事も出来ないほどになり、実家に戻られたそうです。しかし、体調はよくならず、6ヶ月に入る頃から、子宮腔が開きだし、産婦人科での投薬もあまり効を得ず、体は冷え切り、益々悪い状態に成って行きました。
開業医では手が施せず、大病院を紹介され、そちらに行く予定にしていたそうです。
そんな中、当院を紹介されましたが、本人は来院できるような状態ではなく、こちらから往診となりました。
「明日紹介された病院に行く日になっていますが、とても具合が悪くて」と言われ、夏だと云うのに体は冷え切っていて、唇も真っ青の状態でした。
脈診すると、強い弓の弦を張ったような状態で、非常に体がきつい様子を表しています。
証を立て治療を開始しました。強い弦脈は治まり、全体的に柔らかな状態に変わりました。青かった唇や血の気の引いた顔に赤みが差してきて、声の様子もすっかり変わり妊婦さんらしくなりました。
「それじゃ、明日病院に行く前に治療に来てください」と、来院を約束し、初回の治療を終えました。
翌朝一人で車を運転して来院されました。昨日とは待ったく別人のように、血色も良くニコニコされての来院となりました。
所定の治療を終え、病院へ向かわれました。検査の結果、切迫流産の兆候は全く見受けられず、「信じられません。有難うございました」との、うれしい連絡をいただきました。
「これからが大事ですから、治療を続けていきましょう」
1ヶ月ほど継続治療、安産灸を施しつつ、回復を看て治療を終えました。
その後、元気な男の子を無事出産されました。


2.妊娠後期で体調を崩し、絶対安静と云われた症例
(30歳代前半の女性)

妊娠後期(8ヶ月)に入り、次第に体調が崩れだし、少し動いただけでお腹が張り、具合が悪くなり、動けなくなってしまいます。産婦人科で投薬を受け、安静を言い渡されていましたが、具合はますます悪化し、一日中横になっている状態でした。
そんな中、当院で治療を受け、安産灸を受けて出産された方から紹介さて来院されました。
お腹は張って硬く、脈状は硬く緊張し、弓の弦でも張ったような状態です。問診すると、「お腹はずっと張ったままで苦しいです。少し動いただけで具合が悪くなります」と、答えられました。
「治療を続けていくと体の緊張が取れ、楽に動けるようになりますよ。今は、お腹の赤ちゃんも苦しんでいますから楽にしてあげましょう」と、話しつつ治療を始めました。
初回の治療を終えると、硬くなっていたお腹が緩み久しぶりに楽になった様子です。冷たかった手・足に温かみが出、びっくりされていました。
当初、週2回の治療をし、体調の回復と共に週1回の治療となりました。治療の都度安産灸を施し、出産予定日に少し送れて無事男の子を出産されました。出産に際しては、陣痛促進穴に円皮鍼をつけ、強い陣痛を導きました。



陣痛促進穴の効用
20歳代後半の女性
出産予定日に遅れること2週間。入院前日に来院されました。
お医者さんから、陣痛促進剤か、それで駄目な時は、帝王切開と言われていました。何とか自然分娩したいとの強い希望から、当院に来院されました。
通常の治療を行った後、背部に出る穴反応に円皮鍼をつけて治療を終わりました。患者さんに「明日か、明後日には強い陣痛が起こり、楽に出産出来ますよ」と説明しました。治療の翌朝、強い陣痛が始まり、午前8時に無事元気な女の子を出産されました。
陣痛促進穴は、出産が近くなり、もういつ出産してもいいですよと、体が教えてくれる反応です。ですから、自然な状態で出産を迎えることが出来るのです。


つわりの症例
妊娠6ヶ月の20歳代後半の女性

妊娠(初産)初期からつわりが始まり次第に強くなっていったそうです。妊娠3ヶ月頃からほとんど食事が取れず、それでも嘔吐が続き、最後には何も戻す物が無くなり、血を吐いてしまったそうです。
そのため、何度も入退院を繰り返しました。
入院時は、点滴を受けるとつわりは楽になりましたが、退院すると、また、つわりが強くなり、同じことの繰り返しだったそうです。
以前、ご主人がたまたま行った鍼灸院で妊婦さんを見かけたことがあり、「ひょっとしたら鍼でつわりが楽になるかも知れない」と思い、当院に来られました。
「つわりがひどく、血を吐くまでになりました。鍼で楽になりますか。妊娠6ヶ月になっているのにまだつらく殆ど食べられません」と話されました。
「鍼でつわりは楽になります。安心してください。でも、今はかなりバランスが崩れていますので、治療間隔を短くしていかなければなりませんので、お願いします」
手・足は冷え、全身の皮膚からは湿り気が目立ち、声に張りが無く、非常に弱々しい感じを受けました。脈の状態も硬く沈んでいます。
初回の治療を終えますと、湿っていた皮膚は乾き、硬く張っていたお腹も、ふかしたても饅頭のように柔らかくなり、体が楽になった様子です。「久しぶりに楽になりました。もっと早く来れていたらよかった。有難うございます」と、明るい表情で云われました。
「これからが大事ですから、頑張って行きましょう。来ていただけないと治せませんので、大変ですが、通ってください」「苦しんでいるお腹の赤ちゃんも楽になり、元気になっていきます」
当初、週3回の治療から始めました。回復後は、週1回の治療となり、出産で実家に戻られるまで治療を継続しました。その後、実家に戻られ、予定日の少し前に、元気な女の子を出産されました。



さかごの症例
20歳代後半の女性

妊娠8ヶ月に入り“さかご”となり、さかご体操を指導されましたが、なかなか元に戻らず、紹介され来院されました。
腹診をしますと、お腹も右上に頭があり、左下に足があって、さかごの状態がはっきりわかります。
「さかごは、陰性の強い食べ物を取り過ぎていますと、なりやすいのできおつけてください」「お腹を診ましたら、頭が右上になっていますから、早めに元に戻してあげましょう」と、説明しつつ、治療を始めました。
腹部は、比較的ふっくらとしていましたが、少し冷え加減で、時折張る感じが強めに出ています。
治療を開始し、鍼を始めますと盛んに胎児が動き始めました。所定の治療を終え、最後に反応の出ている「至陰穴」に施灸をして初回の治療を終えました。「鍼をするとものすごく動くんですね。びっくりしました」「こうやって位置を変えていきますよ」
右上にあった頭は右横に位置を変えていました。
このような治療を3回ほど繰り返しましたが、完全に戻らないため、施灸の箇所を変えてみました。
三陰交穴に軽く指頭を当てて、胎児の動きを伺いましたが、あまり動きが持続せず、以前聞いたことのある処へ指頭を持っていきますと、胎児の動きが強く持続しました。所定の治療後、この箇所に施灸をして治療を終えました。
五日後に来院。「昨日検診を受けたところ、さかごは治りましたと、言われました」と、うれしそうに話されました。「良かったですね。またさかごにならないように、食事にきおつけましょう」
その後、さかごにはならず、無事元気な女の子を出産されました。
最後に施灸した箇所は、内果から中封穴に向かう線上に当たります。腹部に手掌を当てながら、もう一方の手で反応点を探ります。反応点に当たりますと胎児は激しく動き始めます。至陰穴、三陰交穴も同様にして反応を診ますと、比較できます。


不妊症についての症例 
30歳代前半の女性

当院へは、当初臀部痛で来院されました。問診しますと、「数ヶ月前に始めての妊娠で、8週目で流れてしまいました。腰から臀部にかけての痛みは、以前から頻繁にあります。鍼が怖くて今までは、マッサージを受けていましたが、こちらを紹介され思い切って来ました」「子供の頃からどちらかと言えば、体の弱い子供でした」とのことでした。
手・足は冷えていて少し湿っています。腹部も少し皮膚がざらつきが目立ち、湿り加減です。
「これだけ体が冷えて湿っていると、妊娠してもなかなか育ちにくいですよ。腰の痛みもそのためです。鍼で体質を変えますから、怖がらずに治療を受けてください」と話しつつ治療を始めました。数箇所鍼をしましたら、「まだ鍼はしていないのですか」と尋ねられました。
「もう何箇所か鍼をしてますよ。大丈夫でしょう」
初回の治療を終え、痛かった臀部の痛みが取れ、冷えて湿っていた手に温かみが出、乾いた感じに変わり、びっくりされた様子です。
「こんな風に体は変わります。妊娠して元気に育つことが出来るように、治療を続けて行きましょう」
その後、継続して治療を行い、約半年ほどで妊娠することが出来ました。安産灸を施しつつ、8ヶ月くらいまで当院で治療を継続し、実家に戻られてからも、紹介した治療院で治療を受けられ、無事元気な男の子を出産されました。
当初は、鍼を非常に怖がっておられましたが、今では、全く微塵も感じられません。
人との出会いの不思議を、特に感じられた症例です。「鍼は痛いから行かない」という人も多いと聞きますが、この女性も以前はそうだったそうです。
ひとつの出会いを大切にしてみませんか。