最近の治療例から

PDF版 2005年 治療例から
前期  陣痛促進穴・インフルエンザ・メニエール病 (こちらをクリック)
中期  不妊症・生理不順・帯状疱疹(こちらをクリック)
後期  むちうち症・足関節捻挫・リンパ節の腫脹(こちらをクリック)


NO.1   2006年  1月
NO.2   2006年  2月


妊娠中の障害から自然分娩へ
30歳代半ばの女性

一人目のお子さんも妊娠中に鍼治療を受けて出産された方で、妊娠三ヶ月に入って来院されました。
「お腹が痛くて辛いです。どうもお腹に水がたまっているようです。病院で検査を受けていますが、原因がはっきりしません」
早速、問診しつつお腹を触ってみますと、どうみても妊娠六ヶ月のお腹です。三ヶ月のお腹ではありませんでした。下腹部を軽く押し付けますと痛みが出、腹腔内に水の貯留が伺えました。
「医学的には原因がはっきりしていなくても、東洋医学では体全体を捉えて治療しますから大丈夫ですよ。治療をしながら痛みをとっていきます。それと一緒にお腹の赤ちゃんの成長と自然分娩ができるようにやっていきましょう。お医者さんに診てもらいながら鍼も合わせて治療していきましょう」
初回の治療を終えると歪で張っていたお腹がふっくらと軟らかく変わり、痛みも和らいで楽になっていました。
この患者さんは、遠方からこられるため病院の通院にあわせて月2回の治療となりました。
妊娠五ヶ月に入ると痛みも落ち着き、安定した状態が続きました。
初めは卵巣に水がたまっているらしいと言われていましたが、どうも以前手術した虫垂炎の処に問題があるのではといわれ始めましたが、結局のところ出産後調べてみないとわからないという結論のようです。
安定した状態が続き、妊娠9ヶ月になり自然な分娩を導くため週1回の治療を継続しました。お腹に水がたまり産道を圧迫していて、自然分娩ができなくなる可能性が高いとの医師の言葉から治療間隔を短くしたものです。
臨月に入り、背部の「陣痛促進穴」の反応も現れましたので、反応部に適切な処置を加えて治療を終えました。無事赤ちゃんは水を押しのけて自然分娩で出産しました。
このところ妊娠中にいろいろな問題で来院される妊婦さんが増えています。鍼治療と聞きますと二の足を踏む人が多いとは思いますが、頭の片隅にでも置いてください。



アトピー性皮膚炎
小学校1年生の女の子

生後まもなくアトピー症状が出だし、いくつかの病院へ行ったり、良いと聞いた療法を試してみたりしてきたそうです。しかし、いずれもあまり効果なく症状は悪くなるばかりだったそうです。
痒みが強く、夜には特に掻き壊し母子ともに眠れぬ日を過ごしてきたそうです。
当院へは以前アトピー性皮膚炎で来院されていたお子さんの母親の紹介で来院されました。
服を脱いでベット上に横になってもらうと、全身の皮膚は黒ずんでいて、首周り・肘・膝下等はっきりと皮膚炎が見受けられました。特に、腹部は皮膚が硬くごわごわした感じが強く、腹部にできるしわも全く軟らかさがない状態でした。
「時間はかかりますが治っていきますから、辛抱強く通ってください。見た目にも変化がわかりますから信じて通ってください」と、説明しつつ初回の治療を終えました。
家庭の事情もあり週一回の治療を続けました。初回の治療から約三ヶ月目に入ったころから腹部の状態がはっきり変わり、硬かった状態から普通のお腹の状態に変わりました。お腹に出るしわも全く硬さがなくなっていました。それまで出ていた体のかゆみもそれほど出なくなり皮膚炎の出ていた所も消えてきれいになっていました。
季節の変わり目や強いストレス等で時折皮膚が少し荒れますが、あまり長く続かないできれいに戻ります。
全身の状態を見ながら二週間に一回の診療となり、良い常態を継続しています。
治療開始から一年半程していったん治療を終え、その後は、様子を見ながら不定期で治療を受けことになりました。
初めて治療をした状態とは雲泥の差となりました。
アトピー・喘息等アレルギー疾患は治療を始めてから比較的長い期間を要すことが多い疾患です。ですから、安易に短期間で「治りますよ」とはいえません。今回のケースもそうですが「一年ほどかかりますから、辛抱強く通っていただけますか。三ヶ月程すると変化がはっきりわかるようになりますから」と、お話させていただきます。そうは言いながらもっと早く治るケースも多くありますが、これらの疾患はどうしても継続治療が必要なため事前にお話し、しっかり通院していただきたいためにあえてお話しています。
鍼灸治療でアトピーは回復していきますから、どうか辛抱強く通ってみてください。変化がわかりますよ。