アレルギーを克服するために!

2005年9月23日 追加


近年アレルギーと言われ、その症状に苦しんでおられる方が年々増えているようです。アレルギーと言っても多くの病名があり、その原因もわからず、対処療法的な治療に留まっているのが現状と言えるでしょう。その中で、アレルギー症を持つ幼子を抱えて、これと言った治療法に巡り逢うことが出来ず、右往左往しておられるご家族と接する機会があります。
幼子ばかりではありませんが、少しでも苦しんでおられる方々のお手伝いでも出来ればと思い、新たに「アレルギーのお話」を書きました。
当院に来られる方々のお話や、実際に臨床を通して学んだことなどを中心にまとめてみたいと思います。


アレルギーに関して、その原因に決まった定説はいまだありません。様々な研究機関で解明に取り組んでいるようですが、いまだ判らないのが現状だと言えるでしょう。ただ、判っていることは、体を守るための免疫系が何らかのために異常に反応し、アレルギーを引き起こしていると言うことです。この様々な反応に対してそれを抑えるために薬の処方がなされています。
つまり、対処療法です。この療法がすべて悪いとは言えませんが、根本的な解決になっていないことは確かだと言えるでしょう。
それでは、私の知っている範囲で、アレルギーについて述べられていることからお話してみましょう。
「体の中を仏が通る」で知られていますが、サナダムシ等人に寄生する虫(寄生虫)がいなくなり、アトピー性皮膚炎に苦しむ人が増えたと欧米や日本の子供たちとアフリカ諸国の子供たちの違いを言っておられ、現代社会の行き過ぎた衛生面を指摘されています。
また、乳児の離乳食が早い段階で始まるようになり、しかも早いうちにたんぱく質を与えてしまう。つまりアレルゲンを幼いうちに作ってしまう。更に冷たいものを与えすぎているために免疫機能を阻害してしまう。離乳食を早期に始めることにより、鼻呼吸にならず口呼吸になってしまい更にアレルギーを引き起こしていくと言われています。
また、現代医学は薬の歴史でもありますが、この薬の害によって免疫系統に影響を与え、アレルギーを引き起こすような異常な免疫系が出来てきているのではないかと言われ、薬に依存する社会に疑問を投げかけています。
これらは現代医学において定説になっている訳ではありません。しかし、何か共通点があるように思え、今の社会に警告を与えているように思えてなりません。
皆さんの生活を省みる良いチャンスかも知れませんね。


アトピー性皮膚炎については、既に御存知のところでしょう。子供から大人まであらゆる年代で発症しています。まさに幼子である生後2ヶ月の乳児でも、アトピーと診断されているケースがあるほどです。まさにアトピー時代の到来とでも言えるようです。それほど蔓延しているのです。
現在は、生まれてくる赤ちゃんの4人に1人の割りで何らかのアレルギーを持っているといわれています。幼稚園や保育園の園児も当然のようにアレルギーを持った子供たちが増えています。
時々保育士さんとお話させていただく機会があり、アレルギー・特に多いアトピーの話になることがあります。
「アトピー性皮膚炎を持っている子供たちは普通食を食べれず、それぞれの子供に合わせた除去食を作っていますが、年々除去食が増えています」と話されます。
このように増え続けているているアトピーに対して、どう対処していけば良いのでしょうか。このような幼子に薬を使い続けて行くことでいいのでしょうか。「必要悪だよ」「仕方ないじゃないか。薬以外にどうせよと言うのか」確かにそうです。でも本当にいいのでしょうか。
経絡治療の立場から少しお話してみましょう。
1.変異した免疫系を正常な状態に戻すこと。
2.薬等で下げられた免疫力を高め、自らの力で体質を改善させていくこと。
3.回復した体を持続させ、除去食を少しずつ減らせるようにしていくこと。
4.復活した免疫系はかゆみを止め皮膚をきれいに戻していきます。
これを鍼治療(経絡治療)によって実現していきます。
アトピーは出ている皮膚面のみに注目しますが、実は体の内部の問題なのです。体の内にあるものが形として皮膚に出たものです。そこには当然、内臓を中心としたバランスの崩れがあります。その結果、便秘型、解毒障害型、冷え等機能の低下による排泄障害等が現れ、アトピー症状が現れてくると言えます。
この崩れたバランスを、鍼治療を継続することによって正常な状態に戻し、バランスの取れたからだ(正常な免疫系)は、症状を取り除いて行きます。
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喘息とは、何らかの作用で気管支が急激に収縮して、肺から息を出せない状態に成っているものです。どうしてそうなるのかはいまだに判っていません。呼吸を支配する自律神経からは副交感神経の緊張状態といえます。
では漢方の世界、とりわけ経絡治療の立場からはどう説明されるでしょうか。
まず、喘息は呼吸器系の反応ですから肺についてみて見ましょう。肺を季節および時間から見ますと、季節では「秋」時刻では「午前3時〜5時」です。これをみますと「あれー、そうか」と思われる方もおいでになるでしょう。
そうです。喘息特に小児喘息の発作の出やすい季節と時間に該当します。
また、肺は呼気を支配し腎は吸気を支配するとされていますので、喘息発作時の状態を見たとき、お判りいただけるでしょう。
更に肺系統(肺・大腸)における陰陽のバランスの崩れが大きく、それによって他の系統とのバランスも崩され、発作を起こすと考えられます。
このように、気管支の異常な収縮はそれのみの反応に止まらず、体全体に反応をあらわし、それは内臓を中心とした各系統とのバランスの崩れと深い関連を持っていると言えます。
「気管支の異常収縮を薬以外で直せるの」「自律神経の不調和を薬以外で治せるの」というもっともな疑問も判ります。しかし、先ほど述べたように喘息発作も各内臓系統のバランスの崩れにほかなりません。ですから、鍼治療によってこのバランスを調整し、崩れ難い体に作り変えていくことが大切になります。当然自律神経といえども内臓の支配のひとつといえます。
昔から乾布摩擦の話がありますが、これをすることによって皮膚を鍛え、呼吸器を強くするという意味があります。つまり、皮膚は肺系統の支配にあるため皮膚を鍛えることで肺に影響を与えるということになるのです。継続してみてください。
すぐに結果を求めがちになりますが、じっくりやることこそ大切です。スローライフもときに大切なことがありますよ。
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近年すごい割合で急増しているのが花粉症です。去年までなんとも無かったのに、急に今年から花粉症になったという人が多いですね。
どうしてなんでしょう。原因は判っていませんが閾値(限界点)を超えると発症するのでしょうか。元来日本人は杉等の花粉に対してアレルギーを発症していませんでした。単に杉の数が増えたから、花粉の飛散量が増えたから、でしょうか。
原因はさておき、その症状は大変辛いものです。
花粉は一年中飛んでいるらしいですが、特に春のスギ花粉、秋のブタクサの花粉が有名です。
スギ花粉は遠方まで飛散し、目・鼻の症状から体のだるさを訴える症状まで発症します。
これに対しブタクサは、周辺に飛散し当初は風邪でも引いたような感じで発症し、咳が止まらないケースもあるそうです。
このような症状に対して、対処療法的な診療がなされているのが現状のようです。
では、どう対処すればいいのでしょう。異常に過剰反応する免疫系統をどう抑えればいいのでしょう。更にすすんで、正常な免疫系に戻せるのでしょうか。
どうして異常な免疫系が出来上がってしまうかの検討は、ここでは出来ませんが、鍼治療の継続により、次第に正常な反応に変わっていきます。
つまり、鍼治療をすることにより免疫力を引き上げていくことは、既に何度もお話しているところです。「それじゃ、免疫力を上げれば上げるほどもっと症状が強くなるんじゃないか」と思えるかも知れませんね。でも、鍼治療を行っていくと症状ははっきりと軽減していきます。
このことから判ることは、鍼治療によってバランスの取れた体は、正常な免疫系の力のみを高めてアレルギーを引き起こす異常な免疫系を押さえ込んでいくと考えられます。更に完全に押さえ込むことも可能となると言えるでしょう。
薬に頼ることもわかりますが、少し先を考えて鍼治療を考えてみることも大切かも知れませんよ。
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子供さんをアレルギー症状で当院に連れて来られる親御さんの中に、次のような話をしてくださる方がおられます。「私の具合が悪かったり、いらいらしていたりすると、必ずこの子も症状が悪化するんです」と。アトピー性皮膚炎や小児喘息等、アレルギーの子供さんを持っておられる方であれば、皆さん体験しておられるかも知れません。どうしても一生懸命子供さんに手をかければかけるほど、ご両親に負担がかかって来ます。ましてや、お年寄りとは別居の家庭が多く、その負担は如何ばかりでしょうか。
「苦しんでいる子供を何とかしてやりたいために、いいと云われることは何でもやって来ました。でも、なかなか治りません。どうしたらいいのか判りません」と多くの方々が思っていられるでしょう。
「もう疲れきってしまいました。これからどうしていいのか判りません」と親御さん自身も疲れはてておられるケースもあるようです。
当院に子供さんをアトピーで連れて来られているお母さんが「もっと早くわかっていたら良かったのに。鍼がこんなに効くなんて。これまでどれだけ苦しんできたか。自分のお腹を痛めた子供だから私に責任があるんです。毎日が辛かったです。でも、ここに来られてやっと楽になれました」と言われました。
また、次のようにも言われました。「子供の皮膚がきれいになったのを周りの人たちが見て、驚いて尋ねるんです。それで、鍼に通って治ってきたことを話すんです。でも、鍼の話になると殆どの人がそこから先のことを聞かなくなるんです。こんなにいいのに残念です」と。
殆どの場合、鍼治療に対する理解度は低いのが現状です。どんなものでも100%はありません。しかし、このように門前払いではせっかくのチャンスを無くしてしまいます。これは非常に残念なことです。
是非、一度再考察していただきたいものです。

次にどうしたらアレルギーの発症を少しでも抑えることが出来るのでしょうか。参考までに挙げてみましょう。
1.なるべく離乳食を遅くし母乳で育てましょう。
2.冷たい食物を取らないようにすること。
免疫力を下げてしまいます。
3.陰性の強い食品を幼児期の段階で早く与えすぎないこと。
4.離乳食で早く蛋白質を与えないこと。
5.1との関連で、鼻呼吸になるようにすること。口呼吸では防御できず、すべて体内に入ってしまいます。
(参考文献 「赤ちゃんの進化学」)


アトピー性皮膚炎の症例
3歳の男の子

肘・膝の柔らかい皮膚の部分に皮膚炎が頻繁に出、かゆみで眠られず不機嫌になることも多い。
また、卵等除去食があり、カレー等陰性の強い食品を取ると悪化するとのこと。
紹介されて来院されました。
診ますと、両肘・両膝・首に皮膚炎が強く見られ、お腹もつやが無く少しざらついています。
「卵等を食べるとかゆみが増し、掻き壊してしまいます。でも、あまり食べ物には神経質になっていません」とのことです。
「それでいいですね。食べてかなりひどくなる場合は、ある程度考えなければなりませんが、そうでないならば少しずつ与えていくことも大切ですね」「鍼治療を継続してください。時間がかかりますが、必ず体は変わっていきます」と説明しつつ、治療を継続しました。
2ヶ月程たつと肘・膝・首に見られた皮膚炎が殆ど消えてきました。しかし、ストレスや卵等を食べると痒みがで、掻き壊し皮膚が荒れてしまいます。でも、次第に皮膚炎の痕も消えてきて、皮膚がつやつやになり、回りの人たちも驚いていたそうです。治療を始めて半年くらいのころでした。
「大分回復しましたが、もう少し続けてみませんか。何とか卵等、除去食をなくしたいのですが。よろしかったら続けてください」
その後、半年、治療開始から約一年治療に通っていただきました。その結果、食べ物によってもアトピーはでなくなりました。
すべてのケースでこんな風にうまくいくとは限りませんが、鍼治療によってアトピーが好転していくことは疑いの無い事実です。
「小さな子供に鍼なんて」と思われる方も多いでしょうが、鍼に対する偏見を捨ててください。
特に小児には「小児はり」と言って、このホームページにも乗せてあるように「テイシン」ささない鍼を使っています。子供さんは笑いながら治療を受けています。
どうぞ、鍼治療も皆様の治療のひとつに加えて考えてください。


小児喘息の症例
小学校4年生の女の子

季節では秋に、また季節の変わり目になると、喘息が出やすくなります。しかも、その特徴は早朝の咳です。
この症例の女の子もこの特徴を持っていました。幼い頃から喘息が始まり、投薬を受けていました。特に喘息発作の出やすい秋になると、決まって発作を起こし、その都度気管支拡張剤を吸入していました。
当院へは紹介されて来院となりました。
「小児喘息でなかなか薬を飲んでいても治らないんです。これからずっと薬を飲ませ続けて行くことに不安があるので、鍼で何とか治してください。今は風邪を引いたら喘息が始まってしまいました」
「判りました。時間がかかりますが、辛抱強く治療に通ってください。今は、咳が強く出ていますので、二日から三日に一度の割で治療をしますが、落ち着いたら週一回でいいですよ。体質を変えていきます。時間をください」
当初、発作のため間隔を短く治療しました。約1ヵ月後症状も落ち着き週一回の治療を継続していきました。途中時折咳の出ることもありましたが、半年ほどの継続治療で殆ど咳が出ることが無くなり、秋になっても喘息発作が出なくなりました。
これで治療を終えても良かったのですが、来院当初から気になっていたことの改善がもう少し残っていましたので、もう少し治療の継続をお願いしました。それは胸部に軽く手の平を当てただけで心臓の拍動がかなり強く振れ、なんとなくきれいではないように感じたからです。
「家族に心臓の悪い人はいますか」「いいえ、いないと思います」「胸に軽く手を当てただけで強く触れます。家族に心臓の悪い人がいないなら、気管支拡張剤の影響が出ているのかも知れません。これを今のうちに早く治しますのでもう少し通ってください」
その後3ヶ月ほど継続し、安定したので治療を終了しました。




花粉症の症例
30歳代半ばの女性

「転勤で新潟に来ました。関東に比べるとこちらは楽な感じですが、でも、この時期になると花粉症で辛いです」と言われ、紹介されて来院されました。鼻水・鼻ずまり・目のかゆみ・頭重感等を訴えておられます。典型的な花粉症です。
「鍼治療で症状は軽く楽になりますよ。花粉症を完治させるには時間がかかりますが。続けて行きましょう」と説明しつつ、初回の治療を終えました。
「少し頭が軽くなりました。気のせいか目と鼻も楽になったようです」「気の治療ですからそれで良いんですよ。その積み重ねで治ってきます」
その後、週2回の治療を続け、殆ど症状は出なくなりました。花粉の終わる5月上旬のかなり前に楽になり、花粉の時期の後半は全く気にすること無く過ごせたそうです。
鍼治療(経絡治療)を継続することにより、正常な免疫系を高め、変異した免疫系を押さえ込んでいくことになります。ここに、鍼治療(経絡治療)の真髄があると言えるかも知れませんね。